蒸気機関車で山登り!ブリエンツ・ロートホルン鉄道(スイス🇨🇭)

2022年9月、筆者はヨーロッパを鉄道で巡る旅に出ていた。途中スイスを訪れた際、ブリエンツ・ロートホルン鉄道(BRB)に乗車した。この鉄道は、130年の歴史をもち、ロートホルンを約1時間かけてゆっくり蒸気機関車で登ってゆく登山鉄道だ。蒸気機関車が走る区間における世界最急勾配でもあり、世界中から鉄道ファンが訪れる。

この鉄道の起点はブリエンツ駅。ゴールデンパスラインの中間地点で、ブリエンツ湖畔の美しい街だ。ルツェルンとインターラーケンを結ぶ急行列車に乗車すると簡単にアクセスできる。インターラーケンからは船でもアクセスできるので、ブリエンツ湖を優雅にクルージングしながら訪れることもできる。

列車は、蒸気のドラフト音を唸らせ、麓のブリエンツ駅をゆっくりと出発する。この鉄道は、概ね1時間に1本運行されており、急行列車との乗り継ぎも良い。しばらくは森の中を縫うように走るが、しばらくすると開けた部分に出ると、ブリエンツ湖の絶景が目に入る。その瞬間、多くの乗客がシャッターを切る。湖の対岸の山々の雪化粧も美しい。

山を登る蒸気機関車

30分ほど景色に見惚れていると、列車は山の中腹の中間駅に到着する。列車は30分ほど停車したのち折り返す。筆者が訪れた日は、天候の影響で頂上駅までは行けなかったようだ。だが、中間駅で車掌さんと話す機会があり、色々なことを教えてくれた。筆者が日本から来たことを伝えると、静岡の大井川鐵道とブリエンツロートホルン鉄道は姉妹提携を結んでおり、それらの走る金谷町とブリエンツも姉妹都市であることを教えてくれた。また、乗車してきた機関車がいつ製造されたのか尋ねたところ、乗車した機関車は1996年に新造されたものだが、この鉄道では100年以上走っている機関車もあるのだと説明してくれた。歴史と景観を苦労して守っていることがよく分かる。

初めてみるロッド配置。日本に同じような機関車はないのでここまで近くで見られるのは貴重な体験。車輪径が小さいため、スピードは落ちるが力強く山を登れる。

ブリエンツ湖とアルプスの美しい景色を130年の歴史ある蒸気機関車列車でめぐる旅はまさに非日常と文明の偉大さを感じさせてくれる貴重な体験だった。

SLやまぐち号で山陰の小京都・津和野へ

 JR西日本が運転している「SLやまぐち号」は、山口県山口市の新山口駅から、島根県津和野町の津和野駅までを結んでおり、運転日には多くの観光客で賑わいを見せる。筆者が乗車した2022年4月時点では、牽引機はD51200号機。日本で最も多く製造された型であり、かつては貨物・旅客のいずれにおいても華々しい活躍をみせた。特に200号機は、筆者が幼い頃には出身地・京都の梅小路蒸気機関車館(現:京都鉄道博物館)で動態保存されていたこともあり、馴染み深い車両が営業列車として復活した姿にはとても感慨深いものがあった。

新山口を出発した山口号は、市街地を豪快に突き抜け、湯田温泉に停まり、県庁所在地の駅、山口へ。山口を過ぎると、風景は市街地から田園へ変わる。満開の桜に迎えられながら、力強く坂を登る。沿線では、手を振ってくれる人や撮り鉄の姿も。この列車がいかに愛されてきたかがよくわかる光景だ。何度も汽笛を鳴らし、列車はついに、津和野に至る。

特急サンダーバードで北陸へ

 JR西日本の特急サンダーバード号は、大阪〜京都〜敦賀〜金沢の区間で運行されており、関西から北陸方面へのビジネス・観光需要を支えている。運行本数も多く、多客時は12両編成でも運行されるほどに利用者の多い列車だ。また、日本の在来線特急の中でも特に速い列車として知られている。

 大阪を出発した列車は、複々線区間を疾走し、関西のアーバンネットワークを走る様々な列車とすれ違う。また、特急らしく並走する普通列車を追い抜く光景もとても気持ち良い。

 列車は途中、琵琶湖西側の湖西線を走るが、湖西線は全線高架かつ高規格に建設されており、特に高速で走行する。乗り心地もよく、高架線上から眺める琵琶湖の景色は雄大だ。

 琵琶湖を抜け、敦賀を出発すると、列車は北陸トンネルに入る。その長さは、13.9kmで、10分少々、携帯電話などの通信が圏外になるほどに長い。北陸トンネルの建設は、歴史に残る難工事であったともいわれるが、私たちが快適に鉄道などで移動できるのは、先人達の努力の賜物であると改めて感じさせてくれる。

 列車は、北陸本線でも速度を緩めない。一部の列車は眼鏡で有名な鯖江に停車し、県庁所在地の福井駅には全ての列車が停車する。関西の奥座敷とよばれる芦原温泉を超え、石川県に入ると列車は加賀温泉、小松と停車し、終点の金沢に至る。

 沿線には見どころもたくさんあり、多くの人に愛される特急サンダーバード号だが、2024年春の北陸新幹線の敦賀延伸後は敦賀〜金沢間はJRから第三セクターへ経営分離される関係で、特急サンダーバード号も、同区間は運行が終了される予定だ。北陸地方の地域に密着した特急列車の魅力を堪能できるのもあとわずかだ。

蒸気機関車D51 200号機 展示運転

2020年の6月、京都鉄道博物館では、山口線SLやまぐち号として現役で活躍するD51型200号機の展示走行が行われていた。昭和13年製造の大型蒸気の躍動感あふれる走りを眺める

撮影日:2020年6月29日